2025/07/07 09:18

第二話:五本の線がなければ、音はただの震えだった

ある雨の夜。  狐秋桜堂の店先には譜面が雨粒に打たれ、  五線がうっすらにじんでいた。  楽譜棚の影で、夜杜がシルクハットをそっと傾ける。「五線譜。 ただの“線”と思われ...

2025/07/07 08:23

第三話:わたしは“音のはじまりを決める者”。〜ト音記号〜

音楽室の朝。  まだ誰も音を鳴らしていない。  譜面台に置かれた一枚のスコアは、風に揺れず、ただじっとしていた。最初に書かれていたのは、**ト音記号**。  細く、くるりと巻か...

2025/07/07 08:01

第一話:五線の間に潜む理由

夜の棚をひとりで歩いていると楽譜のページの間から微かな呼吸のような気配がした。それは、譜面の中にある鳴らされなかった空白の温度。夜杜は飴缶をそっと開いて、静かに語りだした。「ぼくはね、“音楽になれな...